「リクルーター制度」の復活

「リクルーター制度」とは、入社年次の若手社員が、image140908-thumb-140x105
人事部の手足となって、出身校の学生と接触して、入社を促す採用活動の一種です。

私も某企業の人事部で採用を担当していた際、
この制度を利用して、入社3~5年の若手社員を選抜し、
母校の学生の中から、優秀だと思う学生をマークし、入社までフォローさせたことがあります。

2016年度卒から募集・広報時期が12月から3月へと遅れることで、
学生への接触機会が少なくなることに危機感を抱く企業は、
この「リクルーター制度」を復活させています。

例えば、高島屋は17年ぶり、トヨタ自動車は8年ぶり、東洋ゴムは7年ぶりとか。

では、「リクルーター制度」とは何なのか説明します。

◆リクルーター面談の役割は?
企業によって、どこまでの権限を与えるかは違いますが、
若手社員をリクルーターに据えるわけですから、
あくまで、”一次面接”と考えてよいでしょう。
つまり、後輩の中から、次の選考に進める人物を見極めるのが役割です。
「どこかのカフェかファミレスで、話を聞かせてくれないか?」と、連絡がありますが、
リラックスして、やり取りできるのが最大の特徴です。
しかし、油断は禁物。これも実質上の面接だからです。

◆リクルーター面談の場所は?
会社の外で会うのが原則です。
カフェやファミレス以外に、大学のキャンバス内(食堂や部室、研究室など)だってあります。

◆リクルーター面談の時期は?
既に一部の企業で実施していますが、これから年末にかけて本格化してきます。

◆リクルーターに聞かれることは?
志望理由、学生時代に頑張ったこと、やってみたい仕事など、
実際の面接と聞かれる内容はほとんど同じと考えてください。
しかし、「本命はどこなの?」「○○会社とうちなら、どちらに入社したい?」など、
本音を探ってくる質問もあります。

◆どこまで素直に 話せば良いの?
同じ大学の先輩ですので、不安なこと、疑問に思うことがあれば、
素直に話しても良いでしょう。
ただし、これも面接だということをわきまえてください。
「実は本命じゃないんです・・・」「本当に入社したいのは○○の方なんです」
と本音を言い過ぎるのもマイナスです。

松本日記:「内定者横取りサイト」!?

先日、クローズアップ現代(NHK 19時30分~)「成長への人材戦略」で、
他社の内定を評価基準にして、学生を”横取り”してしまうネットサービスが紹介されました。
その名もずばり「WILD CARD」。

カラクリはこう。
・学生は、サイトに学歴やアピールできる経験と一緒に自分の「内定した会社名」を登録
・経歴の内容は、フェイスブックの情報で認証され、サイト運営会社が確認
・「内定通知書」で、内定を確認
・これらを「WILD CARD」なるサイトに公開
・公開内容は、サイトにアクセスした企業だけが検索
・企業担当者は、ライバル企業や一目置く企業から内定を取れた学生を見て、
「この会社から内定をゲットした学生なら間違いない(優秀な)はず!!」と判断
・サイト運営会社にお願いして、この学生と接触できるようセッティング
・サイト運営会社はこの学生に連絡
・本人同意のもと、企業と学生が面談

因みに料金はすべて企業負担。
成功報酬型で、学生1人が採用されれば、
登録企業が約90万円をサイト運営会社に支払うことになっています。

学生は完全無料で、自由に内定先を乗り換えられるわけですので、何の”損”もありません。

現在、約3,000人の内定学生が登録しているというのですから、
バカにならないビジネスです。

この特集を見て、「新卒採用もここまで来たか・・・」と思わず絶句しました。
企業の一人あたりにかける採用コストは、約100万円と言われているので、
それに比べれば、リーズナブルかも知れません。

しかし、内定が取れた学生だけを相手にして、
しかも、他社から横取りするとは・・・。
いかがなものでしょうか。

私は、このような”楽した就活”は薦めません。
なぜなら、こうした経験をして、
“旨み”を知ってしまうと、学生さんの中には、image140905-thumb-100x154
「世の中、こんなもんだ」と高をくくったり、
舐めたりする方が出るからです。

「誠実に取り組む」「対面を重視する」
これがビジネスの基本です。就活も同様ですよ。