ユーグレナ出雲社長の講演

日本の大学の在り方を考えるシンポジウムで、ユーグレナ出雲社長が基調講演をしました。
ユーグレナとは、藻の一種のミドリムシを原料にした航空機燃料の実用化に取り組んでいる
会社で、東京大学発のベンチャー企業として、初めて東証一部に上場したことで有名です。

出雲社長は東京大学文科3類に入学して、その後、3年進級時に農学部に転部しました。
その理由は、大学1年の夏休みに訪れたバングラデシュでの体験によるものだそうです。

バングラデシュは、国土が狭く、しかも土地の肥沃が良くない。1日の所得がわずか1ドル
という貧しい国なので、栄養失調で苦しむ人々が大勢いるとのこと。その人たちを救うには、
バランスの取れた食事を摂るしかないと考え、栄養学を学ぼうとしたのが農学部への転部
の動機だと話されました。

そして、出会ったのがミドリムシ。
ミドリムシは、人間が生きるうえで、必要になる動物性と植物性の栄養素を同時に作れる点
が特徴。しかし、大量培養が難しい。いろいろ試行錯誤の末、2005年、世界で初めて、屋外
の巨大な培養槽で、大量のミドリムシを安く育てる技術を発明したそうです。

出雲社長はここで満足していません。次なる挑戦がミドリムシの燃料化。
当時、環境への配慮から、石油やガスなどの化石燃料に代わり、トウモロコシを原料とした
バイオ燃料が使われるようになっていましたが、食料の不足や価格の高騰を招き、トウモロ
コシを食材にしている国にとっては、死活問題。
そこで、海や砂漠でもミドリムシを生産し、保管できるようにならないかと考え、2005年に3人
で会社を設立しました。しかし、お金がないので、設備が作れない。事業計画書を作成して、
資金援助を請おうと会社を廻ったものの、販売実績がないので、断られ続けたそうです。
しかし、諦めずに訪問した末、501社目でやっとスポンサーとなってくれる会社(伊藤忠商事)
が現れました。

出雲社長はこう言います。
「私はバングラデシュでの体験から大学での専門を変えた。周りから『変だ』と言われても、
自分のやりたいこと、やるべきことが見つかったら、それに挑むべきだ。」
「大切にしなければならないのは”こだわり”だ。たとえ、資金や人脈がなくても、ミドリムシで
世界を救いたいという”想い”があったからこそ、会社を作れて、今がある。」

このメッセージは、これから就活に臨もうとする学生にあてはまる内容だと思います。

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