本日は、『内定者指導体験記』を書く前に静岡県内の就職事情について
記します。
某調査機関が2016年4月に静岡県内企業に就職した新卒社員約7千300人
の内訳を発表しました。
それによると、
1.　静岡県内にある大学(国立2、公立2、私立10校)を卒業して就職した
者は、約6千100人いますが、そのうち
①　静岡県内の高校を卒業した者　約3千600人の82％
②　静岡県外の高校を卒業した者　約2千500人の20％
に相当する約3千500人が静岡県内の企業に就職しました。
一方、
2.　静岡県内の高校を卒業して県外の大学に進学した約8千900人のうち、
③　首都圏の大学に進学した者　　　約5千人の38％
④　首都圏以外の大学に進学した者　約3千900人の48％
に相当する約3千800人が所謂、Uターン就職しています。

この数値から、県内の高校を卒業して県内の大学に進学した8割の学生は
静岡県内の企業に就職するのに対して、Uターン就職する者は半分にも満
たないことがわかります。また、せっかく静岡県の大学で学んでも、その
2割しか静岡の企業に就職していない事実も明らかになります。

つまり、大学生にとって、静岡の企業は、新卒で就職するだけの魅力ある
企業が少ないとなります。しかし、本当にそうでしょうか。

内定者Nさんは、生粋の静岡人。高校も地元、大学も地元。しかし、内定を
得た企業は日本生命です。
日本生命に限らず、生命保険、損害保険、メガバンクなど、特に金融機関で
最近、「地域限定社員」の採用枠を増やしています。これは、一定の地域内
での配属や異動を条件に契約する正社員のことで、勤務地が通勤可能な範囲
に限られるため、転居を伴う転勤の発令がないのが特徴です。
正社員採用ですので、給与や福利厚生、労働条件には特に差異はありません。

Nさんは、法人職域フィナンシャルコーディネーターとして、静岡ブロックの
地域限定コースを選択しました。
このコースのもう一つの特徴は何年かしたら、総合職の転換希望が出せる点に
あります。Nさんは、最初は生まれ育った静岡で仕事を覚えたうえで、その後
のキャリアを考えたいという結論に達しました。

今や、正社員採用であってもこうした「地域限定社員」に加えて、「職種別
社員」「在宅勤務社員」など、弾力的な働き方を選べるようになっています。
また、入社時は契約社員であっても、将来、正社員への登用を目指せる制度
も完備されてつつあります。

新卒採用であっても、「皆が総合職、皆が正社員」になる必要はなく、自分
に合った働き方を選択できる時代になってきたのです。