内定指導体験記④

今回の『指導体験記』は、大学名を敢えて出させてもらいます。指導
した学生は京都大学大学院生のDさん。
地震を引き起こすメカニズムを様々なパラメータとデータを駆使して
解析する研究に取り組んでいます。
学会で発表予定の資料も見せてもらいましたが、英語で訳されており、
内容は非常に高度なものです。

研究が多忙で、また、家庭の事情から静岡にUターン就職しなければ
ならない理由で、受験できる企業は数が限られました。
もともと人と話をするのが得意でないうえに、勉強に打ち込んできた
大学院生ですから、集団面接やグループディスカッションなど、経験
したことなどありません。
そのため、就活は相当に苦戦しました。

持論ですが、Dさんに限らず、こうした大学院生の選考は、じっくり
時間をかけた個人面接だけで十分だと考えます。
なぜなら、きちんと勉強してきたのであれば、その頭脳(技術)を評価
すれば良いのであり、応募者をずらっと並べた集団面接で、ハキハキ、
スラスラと回答する態度を評定する必要はないからです。
また、それなりのコミュニケーションが取れていれば、グループディ
スカッションで周囲と如才なく関わったり、雰囲気を活性化させたり
できるかなど、重要視されなくても構わないからです。

そこで、Dさんに対しては、集団面接やグループディスカッションは
省き、個人面接に専念した指導を行いました。それは、研究してきた
ことをわかりやすく伝える力のトレーニングです。

わかりやすく伝える力をつける手っ取り早い方法は、他人に話をする
ことです。それも学部学科のまったく異なる学生を相手としてです。
大学院生(特に理系)は話しの中に専門用語を使いたがります。物理や
数学などの理論や数式を引用しがちです。
それを文学部、経済学部、心理学部など、”畑”がまったくの違う学生
に理解してもらうためには、表現を変えたり、話しの展開を考えたり、
具体例を交えたりしなければなりません。
想定外の質問を受けても、「知ってて当たり前」と切り捨てず、丁寧
に説明することが求められます。

そこで、Dさんには、できる限り多く、そして、いろいろな学校、学部
学科の学生と会って話をさせました。
当初は一方的に話しをして終わり
でしたが、
次第に言い方が変わってきました。相手の反応をうかがう余
裕も出てきました
。アイコンタクトや仕草など、表情も豊かになってき
ました。

こうしたトレーニングの末にDさんが内定をもらったのは、FAシステム
の開発や計測装置の設計、開発を行う会社。
選考は1時間もかけた個人面接が3回。じっくりと話ができるスタイルも
幸いして、Dさんの良さが面接官に伝わり、即、内定でした。

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