続・就活指導体験記④(留学生編 その2)

本日紹介するのはベトナム人の女子留学生Wさん。
2年前に指導した方で、今では東京都新宿区にある某旅行代理店で販売企画
の仕事をしています。

日本語力を測る試験に日本国際教育支援協会が実施する『日本語能力試験』
があります。
試験は、言語知識(文字・語彙・文法)と読解と聴解の3つの分野から出題
され、日本で就職を希望する留学生は、この検定試験で「N1」または「N2」
の合格が応募条件とする会社が多いようです。

因みに最高ランクの「N1」とは、幅広い場面で使われる日本語を理解できる
レベルで、次の「N2」は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加えて、
より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルが
求められています。

これだけでは、ピンと来ないでしょうから、「N1」の例題を示します。
※答えは一番下にあります。

《語彙》
__部分の言葉に対して、1.は置き換え可能な、意味の最も類似した語を、2.は(       )に入る対照的な意味を表す語を選んで、それぞれ番号で答えてください。
1.彼女の博士論文は極めて精緻であり、論述を尽くして余蘊がない
①誤謬がない
②不足がない
③無理がない
④不満がない

2.ここは北に富士山を(       )し、南に駿河湾俯瞰できる、実に見事な景勝の地だ。
①仰望
②凝視
③展望
④遠望

《漢字》
【  】の漢字を使った①~④の言葉の中に、その漢字が他の三つとは異なった
意味でつかわれているものが一つあります。その番号を答えてください。
1.【介】
①介在
②介助
③紹介
④仲介
2.【漫】
①漫才
②漫然
③冗漫
④放漫

いかがでしたか。日本人ですら容易に解けそうにない問題を留学生は受験しな
ければならないのです。
Wさんは、「N1」を合格しました。だからこそ、旅行代理店に受験する資格が
得られて、見事に内定を得ることができたのです。

次回からはそのWさんの奮闘記を紹介します。

答え《語彙》 1.② 2.① 《漢字》 1.② 2.①

続・就活指導体験記④(留学生編)

一人目の留学生は林さん。3年前に指導した中国人の女性で、当時、静岡文化
芸術大学の院生でした。
名前を披露したのは、ご本人の了解のもとで、↓のように『静大テレビジョン』
に登場しているからです。その動画とコメントをそのまま記します。
因みに内定を得た会社はリクルートライフスタイルです。

 

 

 

 

 

林さんは、大学院で日本の都市政策を勉強する中国福建省出身の留学生。
日本語で「読む」書く」「話す」は問題ないため、日本の会社でも採用される
と高を括っていました。しかし、応募先が求める日本語力は「お客様のニーズ
ウォンツを聞き出すことができるレベル」。私が想像していたより、一段も
二段も高い水準です。
そのため、いろいろな場面を設定して、林さんの個別指導を行いました。
「初めてのお客様には、何から話をして、関係を築きますか?」「お客様から、
○○とクレームがありました。どうしますか?」「無言なお客様、無関心なお客様、
納得いかない様子のお客様etc.それぞれどのように応対しますか?」など、仕事の
シーンをできる限り具体的に想定して、”日本語”で何度もやり取りしました。
時には、「それではお客様は帰ってしまいますよ!!」と注意することもありました。
練習の甲斐があってか、最終面接で、「これなら大丈夫です。是非、当社に来て
ください!!」と即、内定を頂戴しました。留学生のハンディを克服した林さんは、
4月から名古屋で勤務することになります。