内定指導体験記⑮

遠方の学生とはスカイプ指導をしています。
本日は、そのうちの一人、南山大学の就活生Oさんの話。
これまで、愛知県にある大学としては、名古屋大学、中京大学、中部大学、
愛知学院大学、愛知淑徳大学、愛知学泉大学、金城学院大学、至学館大学、
椙山女学院大学、名古屋商科大学、日本福祉大学、名城大学といった大学
の学生を指導したことがありますが、南山大学の方は初めてでした。

私自身、岐阜県で生まれて育ち、名古屋で浪人生活を送っていましたので、
愛知県はいわば、ホームグラウンド。
そのため、こうした愛知県内の大学名は聞き慣れており、南山大学を卒業
した友人も多いというのに、これまでなかなか大学の実態を知る機会があ
りませんでした。

学生から直接、大学でどういうキャリア教育や就職指導が行われているか
聞くことは、とても参考になります。
また、就職指導に限らず、いろいろとキャンパスライフの話も聞くことは
有意義です。
「南山大学って、どういうスクールカラーですか?」
「大学の講義は、どんなスタイルで行われるのですか?」
「どのようなゼミナールがあるのですか?」
など、私の好奇心に即した質問をさせてもらいました。

わかったことは、女子学生が多いため、女性向けのキャリア教育が充実して
いることと人文学部や外国語学部の勉強はしっかりしていること。

他の大学での講義を終えてから、Oさんへの出張指導を行うため、南山大学
のキャンパスに訪れ、キャリア支援室までお邪魔したほどです。
また、Oさんは、平安時代の文学を専攻していましたが、日本の文化や文学、
日本語教育など、多様な科目を学んでおり、ゼミナールでも、多様な作品に
触れる機会がとても多くありました。

こうした大学に関する理解を深めることは、学生の「良さ」を最大限に発揮
させる指導につながります。

Oさんの内定先は、着実で誠実に物事に取り組むOさんの性格にピッタリの
先でした。公正・中立な立場で事故調査を行って、保険金の適正な支払いを
管理するのが仕事内容だからです。

内定指導体験記⑭

Uさんの就活は2年越しでした。というのも、半年間、カナダに留学した
ため、大学を休学していたからです。

留学理由がユニーク。1年目は少しだけ就活をしていましたが、エントリ
ーシートを書いたり、面接を受けたりするうちに「こんなくだらないこと
をして就活するのは馬鹿らしい」との想いが募る反面、「サークル活動は
やってないし、勉強もろくにしてない。アルバイト経験もないし、毎日が
ゲーム三昧。これじゃ就活どころか、世の中に出てまともに働けないかも」
そのため、「留学して、考えの甘い自分を見つめ直してきます。」

それから10ヶ月余が経過して、Uさんは再びジョブエールに指導にやって
きました。Uさん曰く、
「留学先には、国籍は勿論、年齢、キャリアなど、実に様々な人に出会い
ました。私のような学生はむしろ少数派でした。会社から長期間の休暇を
許された30代のアメリカ人。一度は就職したものの、一念発起して、学び
直す28歳のフランス人。卒業後、インターンシップに行きながら、勉強を
続けるカナダ人などなど。」
そのため、
「何で(日本人の)Uさんは、大学を卒業してすぐ就職するの?」
「新卒一括採用って何なの?」「大学には20代の学生しかいないの?」など、
日本にいると疑問すら起きない質問を次々に浴びせらたとのこと。

この経験が凝り固まったUさんの考えを解きほぐしてくれたようです。
「面接官に媚びを打ったり、愛想を降り舞うことなどしなくていいんだ」
「そんなことより、自分の思っていることははっきり伝えよう」

こう考えたUさんは、やがてJR東海のグループ会社から内定を得ました。
この会社は駅構内の清掃やビルのメンテナンスなどの現業部門も抱えて
いるため、面接官から「大丈夫?」とさんざん確認されたそうですが、
「現場を知らなければ仕事はできません」「いつもスーツを着たいとは思
いません」「一目にはつかない、裏方の仕事もあるが、安全・安心を提供
する仕事とはそういう性質のものだと思います」
と答えたとのこと。

1年前のUさんを知っているだけに、とても同じ人物が発したとは思えない
堂々とした立派な回答です。
留学を経験したことで、外から日本を眺め、当たり前のことが実はそうでは
なかったと気づけたため、そして、多様な人々と交流したことで、いろいろ
な考えや価値観を受け入れることができるようになったためだと感じました。

Uさんですが、入社後2年間は、現場の仕事を携わり、その後、総務、経理、
安全衛生などの管理部門に配属されるとのこと。
「これなら大丈夫!!」と私が太鼓判を押せます。